名前で呼べよ。~幼なじみに恋をして~

全然全然、特別なことじゃなくていい。ほんとになんでもいいんだ。


なんでもないこと。わたしたちができなかった、なんでもなかったはずのこと。

日常にしたいこと。


「他愛ないやりとりだってしたいし、おやすみとかおはようって言いたいし、スタンプ爆撃もしたい」


早口の懇願がとまらない。

あふれる言葉がとまらない。


「わたしはもっと話したいんだよ。佐藤くんと」


ここまでたくさん言葉を費やして長くなったけど、つまりあれだ。要約するならば、こういうことが言いたかった。


ねえ、そうちゃん。


「連絡、してもいい?」


ぐっと顔を上げて見据えると、まぶたを伏せたまま、そうちゃんは静かに答えた。


「……別に、いいけど」


え。


呟きに、抑える間もなく声が弾む。


「ほんとに……!」


ほんとに、ほんとにいいの、連絡しても。だって、そうちゃん、だって。


てっきり嫌がられるかと思っていたので、一瞬思考が追いつかない。


え、え、うそ。ほんとに。


詰まる喉。苦しい肺。潜めた呼吸。

目がチカチカして立ちくらみしそうなほど、期待に高鳴る心音がうるさい。


真っ白になった頭をどうにか動かして、隣を見つめる。


そうちゃんは少し照れたように唇を歪め、左右に一度視線を泳がせてわたしを見た。


一旦引き結んだ唇から、嗄れてかすれた、小さな呟きが落とされる。


「ほんとに」