あれは絶対にわざとだ。


必要以上にベタベタとくっついている希彩ちゃんに、イライラしてくるあたし。


これじゃあどっちが彼女かわからない。


せっかく颯が可愛いと言ってくれワンピースを着て来たのに、颯は何も言ってこない。


希彩ちゃんに気をとられ、あたしの事なんて視界に入っていない様子だ。


きっと、あたしがこのまま家に帰っても颯は気がつかないんじゃないだろうか?


デートの気分はすっかり沈んでしまい、ほとんど会話にも参加しないまま颯との時間は過ぎて行ったのだった。