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この日、いつもより少し早く学校が終わったあたしは颯とデートの約束をしていた。


一度家に戻り、手早くデート服に着替える。


颯と付き合い始めてから、クローゼットにはカワイイ服が沢山並ぶようになった。


特に颯が好きだと言ってくれていたブルーのワンピースを選び、家を出る。


颯が家を出たかどうか監視カメラを確認しようと思ったとき、前方から「純白ちゃん!」と、女の子があたしを呼ぶ声が聞こえてきて、あたしは視線をあげた。


「希彩ちゃん……」


そこには私服姿の希彩ちゃんが、颯と一緒に並んで立っていた。


あたしはバッグにスマホを戻し、2人に近づく。


そしてチラリと颯を見た。


「家に戻ったら希彩も一緒に行きたいっていうから、連れて来た」


悪びれもせず、そう言う颯。


あたしは心の中でため息を吐き出して、颯を見た。


でも、颯はそれにも気が付かない。


希彩ちゃんの方はわざとらしく颯と手を繋ぎ、あたし1人が後ろからついていく形になってしまった。