「うん。スマホにっていうか、スマホを使ったアプリなんだけどね」


「どんなアプリにはまってるの?」


「う~ん……」


あたしは返事に困り、杏里を見る。


杏里は本当にあたしの事を心配してくれているようで、眉が下がっている。


でも、監視カメラの事を説明すると友達じゃいられなくなってしまうかもしれない。


そう思うと、素直に打ち明ける事はできなかった。


「写真の加工をするアプリだよ」


咄嗟に、依然利用していたアプリを思い出し、そう言っていた。


途端に杏里の表情は明るくなる。


「そうなんだ? 見せて見せて」


そう言われ、あたしは花の写真を加工したものを杏里に見せた。


「わぁ、可愛い!」


画面を見て杏里は笑顔になる。


その様子にあたしはホッと胸をなで下ろす。


この画像を持っていてよかった。


そう思ったのだった。


そして同時に、友人に嘘をついてまで監視カメラをやめられない所まで来てしまっているのだと、自分自身で理解したのだった。