「ねぇ颯」


歩きながら、あたしは颯に声をかけた。


「なに?」


あたしに歩調を合わせてくれる颯。


「昨日はデートできなくてごめんね?」


「あぁ、そんな事気にしなくていいのに。体調は大丈夫?」


「うん。すっかり良くなったよ」


「それならよかった」


「ねぇ……」


あたしは立ち止まり、颯を見上げる。


「ん?」


颯も立ち止まり、あたしを見た。


「昨日……颯は何してたの?」


「昨日? 希彩と一緒に一日中出かけてたよ」


「……そうなんだ」


「どうかしたのか?」


「ううん、何でもない」


あたしは左右に首を振り、再び歩き出したのだった。