このまま希彩ちゃん中心の生活をしていると、颯の未来は真っ暗になってしまう。


そう思い、爪を噛む。


どうにかしなきゃ。


そう思ったとき、「やぁ、久しぶりだね」と、聞いたことのある声が聞こえてきてあたしは視線を移した。


「叶さん!」


そこに立っていたのは叶さんだったのだ。


隣にはお兄ちゃんもいて、学校帰りのようだ。


「あ、こんにちは」


颯が席を立ち、お兄ちゃんに挨拶をする。


「あぁ」


お兄ちゃんは颯の事を気にする素振りもみせない。


「颯君……だったかな? 久しぶりだなぁ」


叶さんがそう言うので、あたしは2人を交互に見た。


「ねぇ颯、叶さんと知り合いなの?」


「あぁ。純白の家に行ったときに何度かあった事があって、いつの間にか意気投合しちゃったんだ」


そう答える颯。


そっか。


颯も叶さんもうちにはよく遊びにくるもんね。