薄暗い中ロウソクの明かりが揺れて颯の顔を浮かび上がらせる。


あたしはハッピーバースデーを歌い、颯は照れたように頭をかく。


「吹き消してよ」


「あぁ」


フッと息を吹きかけて、部屋は薄暗さに包まれる。


燃えたロウソクの香りが心地いい。


「18歳おめでとう、颯」


「ありがとう純白」


そう言い、颯があたしの体を引き寄せる。


ここまでして、ようやく颯は女としてあたしを見るのだ。


でも、それも簡単にかき消される。


玄関が開く音がして、颯はあたしから身を離した。


「希彩が帰って来たな。ちょっと待ってて」


そう言うと、そそくさと部屋を出る颯。


あたしは颯の後ろ姿を見送る。


バタンと、冷たく閉じられたドア。


彼女よりも妹が大切。


あたしはそう思いながら立ち上がり、部屋の電気をつけた。