「ねぇ、希彩ちゃんももう15歳なんだから、そんなに心配しなくていいんじゃないの?」


テレビに視線を向けたまま、あたしはそう言った。


「15歳なんてまだまだ子供だ。兄である俺が心配するのは当たり前だろ」


そう言い、颯は少し長くなってきた前髪をかき上げた。


そこまで妹の心配をする暇があれば、美容院くらい行けばいいのに。


あたしはそう思うが、喧嘩になりそうなので黙っておいた。


颯は3年生の中でもかなりカッコいい方なのだけれど、自分の見た目などどうでもいい様子だった。


もう少し手をかければもっとカッコよくなるのに、本人にその気はない。


今日はデートだというのに無精ひげまで生えている。


彼女であるあたしよりも妹を大切にしている。


そう感じることは多々あった。


それでも……。


好きなんだから仕方がない。