ドクドクと心臓は早くなり、それに伴ってドアへと視線が移動していく。


見ない方がいい。


そう思っているのに、どうしても見てしまう。


そして……「なんで!?」思わず声をあげていた。


気絶する前にはちゃんとドアノブが付いていたのに、今はそのドアノブが破壊されていたのだ。


これじゃぁ外に出られない!!


あたしは慌ててベッドから抜け出し、ドアへと走った。


しかし、ドアノブがないから体でドアを押す事くらいしかできない。


「開けて! 開けてよ!!」


叫びながら、傷ついた手でドアを叩く。


包帯には血が滲み、ドアに赤いシミを作った。


「無駄だよ」


耳元から聞こえて来たお兄ちゃんの声に、ビクッとして動きを止めるあたし。


お兄ちゃんの手が、ゆっくりとあたしの腰に回され強く抱きしめられた。


「この部屋は防音なんだ。外の誰にも声は聞こえない」


囁く声に、ゾクッと背筋は寒くなる。