叶さんが部屋を出てから時間の感覚が失われていた。


何分? 何十分? いや、何時間この部屋にいたのかわからない。


あたしは重たい体を持ち上げてドアに近づき、ノブを回した。


しかし、ドアは開かない。


何度ノブを回しても、押しても引いてもびくともしない。


閉じ込められた……。


あたしは部屋の中をぐるりと見回した。


大きなベッドが2つに、バス・トイレ付きの大きな部屋。


飛び降りて逃げるには高さがあるのは、もう知っていた。


あたしは重たい体を引きずるようにして洗面所のドアを開いた。


目の前に大きな鏡があり、その鏡の中には目を真っ赤に充血させたの希彩ちゃんが立っていた。


一瞬、本当にそこに希彩ちゃんがいるような錯覚を覚え、振り返る。


しかし、そこには誰もいない。


いるのはあたしだけだ。


あたしは鏡に近づき、その顔に触れた。