颯の家に付いたのは、それから15分ほど経過した時だった。


息をきらしながらアプリを確認すると、杏里はまだ生きている。


その様子にホッとして、颯の家を見上げた。


しかし、様子がおかしい事にすぐに気が付いた。


颯の部屋の電気がついていないのだ。


それだけじゃない、家に誰かがいる気配が全くないのだ。


あたしは混乱しながらも、チャイムを鳴らした。


しかし、誰も出てこない。


耳を澄ませてみても、なんの物音も聞こえてこない。


「なんで……!?」


あたしは焦り、画面を確認した。


さっきまで起きていた杏里が、今はベッドに横たわって目を閉じている。


一瞬死んでしまったのかと思い、背中に虫唾が走った。


でも、違う。


よく見れば杏里の胸は上下していて、呼吸をしているのがわかった。