正直、杏里みたいな子に彼氏ができるなんて思っていなかった。


可愛いけれど、純粋すぎて男が近寄りづらいイメージがあったからだ。


「で、どっちから告白したの?」


そう聞くと、杏里はモジモジしながら「あたしから」と、答えた。


「すごいじゃん、杏里!」


告白も杏里からだなんて、相当勇気を出したに違いない。


あたしはそれが嬉しくて、思わず杏里の小さな体を抱きしめていた。


「く、苦しいよ純白」


「あぁ、ごめんごめん。でも、すっごく嬉しくて」


あたしはそう言い、まだ腕の中にいる杏里を見下ろす。


「自分の事みたいに喜んでくれてありがとう、純白」


「だって親友だもん」


そう言うと、不意に杏里は真剣な表情を浮かべてあたしから身を離した。


「あたしも、純白の事親友だと思ってるよ」


「うん。わかってるよ?」


「だからね……純白にも、ちゃんと幸せになってほしい」


その言葉にあたしは自分の顔から笑顔が消えていくのを感じていた。