「食べて来たから大丈夫」


そう返事をして、階段を上がる。


自室へ戻ると、あたしは真っ直ぐにゴミ箱へと向かった。


自分で捨てたパンフレットをゴミ箱から引き抜き、ページをめくる。


折り目を付けていた監視カメラのページがすぐに開かれた。


あたしはそれを目で追いながら、ベッドに座った。


颯には通信は利用しないと言ったけれど、本当はそんな気なんてなかった。


希彩ちゃんが、もっとしっかり利用する会社の事を調べていればよかっただけのことだ。


「1万円か……」


クマの形の監視カメラの値段は1万円。


学生からすれば少し高価だけれど、買えない金額ではない。


あたしはそう思いながら、ベッド横に置かれているキャビネットに手を伸ばした。


一番上の引き出しを開けると、小さな白い箱が入っている。


これが、以前この雑誌で注文したネックレスだ。


あたしはパンフレットを横に置き、その箱を開けた。


中には金色のハートのネックレスが入っている。