ベッドの横に置かれている心拍数と血圧を表示する装置では、希彩ちゃんが生きている事を証明している。


「目ざわりなんだよ……」


そう呟き、あたしは希彩ちゃんの首に指を這わせる。


いまなら誰もいない。


いまなら、殺せる。


あたしは自分の指に軽く力を込めた……。


ドアが開く音がして、あたしはすぐに手をひっこめた。


振り返ると、ヒゲを剃ってサッパリした顔の颯が立っている。


「やっぱり、ヒゲはない方がカッコいいよ」


あたしがそう言うと、颯は少し頬を赤らめて笑った。


来た時よりも元気になった気がする。


やっぱり、病院で付きっきりになるだけで随分と精神的に落ち込んでしまうんだろう。


「ありがとう、純白」


颯はそう言い、あたしの手を握りしめたのだった。