希彩ちゃんの手術が終わったのは、それから2時間後の事だった。


「どうなんですか?」


手術室から出て来た医師に真っ先にそう聞いたのは、颯だった。


「最善を尽くしましたが、今夜がヤマでしょう」


真剣な面持ちでそう答える医師。


大型トラックに跳ねられたんだ。


そう簡単に大丈夫とは言えないだろう。


「そう……ですか……」


颯は気が抜けたようにその場に座り込んでしまい、あたしは慌てて駆け寄った。


「颯、大丈夫?」


そう聞いても、返事はない。


颯は何もない空間をボンヤリと見つめている。


颯だけじゃない。


手術が終わった時には待っていた全員が疲れの色を隠せずにいた。


あたしも、ただ座っているだけの時間にかなり疲れてしまった。


ショックと疲れが混ざり合い、誰も何も発しない。


結局、希彩ちゃんは集中治療室に入れられ、あたしたちはその病室の前に移動してきていた。