あたしはお弁当を食べる手を止めて、杏里を見た。


「疲れているように見える?」


「うん。少しだけ元気がないように見えるけど、大丈夫?」


本当なら、その言葉は颯から聞きたかった。


あたしは小さくため息をはき出し、ご飯を口に入れた。


「また、何かあった?」


「うん」


「まさか、まだカメラの映像を見ているんじゃないよね?」


杏里が小声でそう聞いてくる。


あたしは慌てて首をふった。


「もう見てないよ」


杏里に言われて以来、あたしはアプリを起動していない。


「それならいいけど」


ホッとしたように杏里は笑顔になる。


「でも、颯は相変わらず妹中心だから、なんだか疲れてきちゃって」


「そうなんだ……」