あたしは首を傾げて杏里を見た。


「あたしと、彼はまだ付き合っているとかじゃないから、どんな会話をしたらいいのかわからなくて……」


「それなら、デートじゃなくて遊びに行く感覚でいいんじゃない?」


「でも、純白と遊ぶのと同じようにはいかないと思うし……」


そう言い、杏里はうつむいてしまった。


嬉しい反面、不安も大きいみたいだ。


「せっかくデートまでこぎつけたんだから、相手の前でそんな顔みせちゃダメだよ?」


あたしがそう言うと、杏里はハッとしたように顔を上げた。


「そうだよね……」


「そうだよ! ねぇ杏里、せっかくだからデート用の服を買いに行こうよ!」


「いいの?」


「うん! 杏里に何が似合うか見てあげる!」


順調に進んでいく杏里の恋愛に、あたしはほほ笑んだのだった。