昼休みに2人でお弁当を広げていると、杏里がニコニコと上機嫌な事に気が付いた。


「杏里、なにか嬉しい事でもあった?」


「うん!」


あたしの質問に即答する杏里。


これは片想いに進展があったのかもしれない。


触感的にそう感じる。


「なにがあったの?」


「好きな人と、デートの約束したの」


杏里はそう言い、顔を赤くしてうつむいた。


嬉しいけれど、いざ言葉に出して伝えると照れてしまうようだ。


そんな可愛らしい反応の杏里に、あたしも思わず笑顔になる。


「よかったじゃん!」


「うん、ありがとう」


けれど、杏里はすぐに不安そうな表情を浮かべてあたしを見た。


「デートってさ、何するものなのかな?」


そう聞かれて、あたしは瞬きを繰り返す。


「何って……美味しい物を食べたり、遊んだりじゃないの?」


「それは、わかってるんだけど……」


そう言い、口ごもる杏里。