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「純白、どうしたのその顔!」


翌日学校へ行くと、杏里が真っ先にそう言ってきた。


昨日は一睡もできず、颯の事を思い出しては泣いていた。


お陰で目の下にはクマができて、充血もしている。


「ちょっと眠れなくて……」


「昨日はデートだったんでしょう? もしかして、なにかあったの?」


その質問にあたしは小さく頷く。


カメラの映像を思いだすと、また涙が滲んできた。


「話せる事なら相談に乗るよ?」


「……ありがとう、杏里」


だけど、話せない。


自分だけの秘密にしておかないといけない。


「純白、あたしそんなに頼りないかな?」


杏里がそう言ってきたので、あたしは涙をぬぐった。


「純白の役に立てないくらい、頼りないかな?」


「杏里……」


真っ直ぐな杏里の視線にあたしは言葉に詰まってしまった。


「今日のお昼、ちゃんと話してくれる?」


そう聞かれ、あたしは小さく頷いたのだった。