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結局、希彩ちゃんが途中参加になったデートではいつも通り希彩ちゃんに主導権を握られてしまった。


あたしは何度舌打ちをし、何度爪を噛んだかわからない。


帰る頃には指の先から血が出ていた。


「クソガキが!!」


部屋に入り、ようやく本音を口にする。


イライラと部屋の中を歩き回り、クッションを壁に投げつけた。


それでも怒りは収まらない。


誰のせいで颯が将来の事を考えなくなったと思ってるんだ。


誰のせいで颯が女を殺していると思うんだ。


脳裏に浮かぶ希彩ちゃんの笑顔をかき消すように、あたしはスマホのアプリを起動した。


颯。


颯の姿が見たい。


そう思い画面を見つめる。


そして監視カメラが起動された瞬間……赤。


真っ赤に染まった颯の部屋が映し出された。


血に染まり、床に横たわっている女がこちらを見ている。