途中、メイクを落としておらず、衣装のままで歩いていたのでジロジロと見られたが、
まぁハロウィンシーズンということでそこまで気にならなかった。
「あらぁ、すごい格好ね!」
なんて旬の家に入るなり言われて私はあはは、なんて笑う。
そしてかぼちゃを見るなり、かぼちゃのタルト、クッキー・・・なんてとってもおいしそうなものを唱え始めるので涎が出そうだった。
そして旬にひかれるようにアトリエにお邪魔する。
「ふぅ」
私はソファに座り込んでそう息を吐く。
「おつかれ」
そんな風に私のぐっしゃぐしゃのままの髪を撫でた。
私はその手を目を閉じ、味合うようにずっと座る。
はぁ、落ち着く。
「そういえば」
私はハッとしたように言う。
「?」
旬は首を軽くかしげる。
その仕草が少し旬らしくなくて可愛らしい。
「その紙袋は?」
さっきから気になっていたのだ。
少し大きめ。ぶらぶらしているときには持っていなかったのに、2人でここに向かうときには持っていた。
「あ?
これか・・・。
なんだろうな。郁斗からもらった。」
「なにそれ、すごい怪しい臭い。
そういえば、それなんか、女子から受け取ってたよ。」
「げ、なんだそれ・・・」
旬はまるで臭いものでも摘むように紙袋を掴む。
「開けてみれば?」
そう言うと、わかった、と旬は恐る恐る
中を見た。
そして
「あ?」
旬のドスの効いた声。
こ、こわ。
旬が取り出したもの。
それは
「い、衣装・・・?」
しかも、吸血鬼風。
マントにスラッとしたパンツ、血汚れの舞ったシャツ、そして牙。
「なんだこれ?
・・・ん、まだなんか入ってる。」
そう言うと旬は袋の奥からなにやらごそごそペラっとした紙を取り出した。
そこには
「「吸血鬼の衣装用意したよん。
これで美里と楽しみな〜
バイ郁斗」」
私達はその内容を音読する。
「「・・・」」
私達は紙を見たまま硬直してしまった。
けれどすぐに私は吹き出してしまった。
「・・・ぷっ!!
なにこれ・・・!
旬が着るわけ・・・!」
私はお腹を抱えて笑う。
あーこんな手の凝った衣装、作ったのかな?
そういえば、あの女の子たち、思い出してみれば美園の服飾科の子たちかも。
なんとなく見覚えがある。
「はぁ・・・」
旬は呆れたように立ち上がる。
そして布などがおいてある倉庫に歩き出した。
全部解体して布に戻すつもりなのかな。
逆にそれも申し訳ないけど。
なんて思いながら数分待っていると、
倉庫から出てきた旬に驚愕することとなる。
「・・・え
着たの・・・??」


