はぁ、舞台裏に知っている人がいない、こんなの初めてだなぁ。
ステージでは司会の人の声と、可愛らしい女の子の声と、観客の声が入り乱れている。
なんだかそれも私の中からは隔離されたようなものにも思える。
客観的に、ステージを眺めていて。
今からあそこに立つというのに。
緊張感がない。
ふわふわしている。
まぁ、遊ぶしかないなと思っている。
本当に楽しむだけの、ステージなんて初めてだ。
「次の方〜」
スタッフであろう方がやってきて私を導く。
・・・よし。
「それでは次の仮装・・・!
チーム吸血鬼の花嫁!」
おお!なんて観客の歓声。
チーム名を言っただけ。
ハードルが上がったのかな。
てかチーム名それ、センス疑う、そのまんま。
私は一歩足を踏み出す。
そして明るいところへと引っ張られるように歩いて。
けど雰囲気もだす。
おぞましい、人々が、恐れおののいてしまうような。そんなイメージ。
中心にたち、顔を上げる。
ランウェイなんてものはないのだ。
すごい、うわぁ、なんてそんな声。
直に歓声を受け付けたのは初めてのような。
「すごいですねぇ・・・!!
このテーマは・・・?」
司会の方が私にマイクを向ける。
「不幸な、吸血鬼の花嫁を意識しています。」
私は喋り方も意識して。
なんだかハスキーで今にも消えそうな感じで。
ターンしてもらえますか、なんていう指示があったので、くるっと回る。
凝ってるなぁ、なんていう様々な声が私にとどき、ニヤッとしてしまう。
当たり前、みんなが作ったんだから。
「ありがとうございました!」
なんて声で私は帰る。
一番ステージに立った時間が長いショーだったな。
うん、楽しかった。
観客見渡せて。
私は終わるなりみんなのところへ駆け寄る。
「お疲れ〜」
みんながそんな声とともに出迎えてくれる。
「楽しかった〜!」
私はそう言っていぇい、とみんなとハイタッチ。
それから結果発表の時間までハロウィンのお祭りをぶらついて待っていた。
途中、郁斗が女の子たちから怪しげな紙袋をもらっていて少し怖かった。
真面目に。


