そして本番当日。
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「うわぁ、大きい会場・・・。」
私は思わずため息をつくようにこぼす。
野外の会場であるが、
予想よりも大きかった。
さすがに美園のステージには劣るけど。
少し見くびっていた。
ただいま時刻10時。
私は変装のため、サングラスを着用しながら旬たちとイベントを見ていた。
かぼちゃのアートや、たくさんの仮装している子供もいれば大人もいる。
この雰囲気、とっても好き。
「出場順は27番中20番
13時半ごろには必ず袖にいるように、とのことだ。
割と招集などはゆるいらしい。」
と、旬が真面目に言う。
了解、と私たちは返す。
そして二時間ほど、
ハロウィンの雰囲気を味わい、
12時ごろに控え室へと入る。
控え室には遅れてくる修もいて、もう準備にとりかかる。
まずは郁斗のメイクから。
郁斗のメイクは一番準備に時間がかかる。
なんてったってモデルの咲田美里を隠すための尋常でない程の特殊メイクをするからだ。
まぁ、ドラマでやるような時間のかかる大げさなものではないものの。
歯には牙をつけ、血糊で口を赤くする。
ここでもうブラックな雰囲気が醸し出す。
そして目には赤いカラコン。
爛れた肌。
目元にはものすごい範囲で紫色のシャドーとブルーを交互に、グラデーションのようにストライプを作ってこれでもかとのせる。
瞼にはアイラインで蜘蛛の巣を描く。
「さっすが郁斗〜」
鏡に映る自分を見て感嘆の声を上げる。
完全に、私の顔じゃない。
ほんと、事故現場から這い上がってきたかのような顔になっていた。
「まぁ、俺だしね。」
キラーん、なんてウインクをかましてきた。
「はい、調子乗らない。次修〜」
軽く郁斗をあしらって修に髪をやってもらう。


