チラッと森さんを見ると、笑いをこらえていた。


ほんと、失礼なヤツ。



9時を過ぎると、月曜はいつも電話が鳴ってばかり。


ひとつひとつ対応しつつ、仕事をこなしていく。


夕方、部長と森さんと打ち合わせだから、業務しながら気づいた点をメモしていく。




発注書一覧を、担当者別に出力してほしい。


商品名を、もう少し大きく表示してほしい。


商品アイテムごとに、納期を設定したい。



商品部のみんなが日頃話していることも、付け加えていく。



在庫管理をやりやすくするために、在庫表を見直してほしい。


商品の登録画面を変更してほしい。




こんなとこかな。


気づくと、もう少しでお昼休みだった。


「いっけない、今日は電話当番だから、ちょっとお昼買ってきます」



近くのコンビニで、コーヒーとサンドイッチとチョコを買う。


チョコとコーヒーって、最強の組み合わせだと思うんだよね。




みんながお昼でいなくなって、静かなオフィス。


いるのは私だけのはずが、ガタンと物音がして振り向くと、森さんが歩いてきた。


「どうしました?


みんなお昼で、外食か休憩室にいますよ」


「おまえは?」


「私は、お昼休みの電話当番なので」


「ふーん」


「前から言おうと思っていたんですけど、私のこと『おまえ』って呼ぶの、やめてもらえますか?


私は『坂本』ですので」


「俺が介抱してあげたのを忘れたのかな・・・」


「それとこれとは関係ないですよね?」


「そうだ、メシおごってもらう約束だけどさ、今晩どう?


ちょうど打ち合わせもあるし」


「いいですけど、何が好きですか?」


「なんでもいいよ、おまえのセンスしだいだけどな」


「ですから、おまえって言うのやめてもらえます?」


「わかったよ、約束はできないけどな」


「ちょっと待ってください!」


そこで電話が鳴り、話は途切れてしまった。