毎日一緒にいられて、嬉しかったけど。


まだ、入籍する日は決まっていなかった。


っていうか、入籍の『に』の字も会話に出てこない。


うやむやにされたまま、年を越すつもりなのかな。


もしかして、逆プロポーズを待ってるとか。


いやいや、それはちょっと、でも、このまま年末まで言われなかったら、考えようかな。




そして、迎えたクリスマス。


今年は平日だし、そんなに凝ったことはできなかったけど。


ほうれん草のキッシュと、去年と同じ唐揚げを作った。


優樹は私の少し後に帰ってきて、


「ただいま、おっ、うまそー」


ほっぺにチュッとして、着替えに行った。



いつもより、ちょっと凝った料理と、ワイン。


優樹はペロリと食べてくれるから、嬉しい。


「優樹、ケーキ買ってきてくれたんだよね?


コーヒー入れるね」


「あっ、俺がやるよ」


「じゃあ、お願い」


食べ終わったお皿を片づけて、ソファーで待っていた。



「はい、お待たせ」


優樹が、小さなホールケーキを持ってきてくれた。



ケーキにのっているプレートには、


『ゆうか けっこんしてください』


って、書いてあった。



「うわ・・・うれしい」


「返事は?」


「よろしくお願いします」


「プロポーズどうしようか、いろいろ考えたんだけどさ、何か形に残したくて」


「曖昧な感じだったから、もう言ってくれないのかと思ってたよ」


「男としては、悩みどころなんだよ」


「ケーキ屋さんで、どんな風にオーダーしたのか見てみたかったなー」


「・・・恥ずかしいから、普段は行かないケーキ屋にした」


「ありがとう。


ね、写真撮ろうよ」


ふたりの思い出の写真が、どんどん増えていく。