【完】『雪虫の舞う頃に』


茉莉江が紅茶を出した。

「はいお待たせ」

「ありがと」

左利きの駿は左手でカップをとって一口、紅茶をふくんだ。

「うまいなぁ」

香りがえぇなあ、と駿はカップを少し覗くように香りを鼻腔で楽しんでみる。

「あのさ…駿、もしかして結婚した?」

茉莉江は不意討ちのような質問を投げ掛けてきた。

「…なんで?」

「薬指に跡がある」

駿が左手の薬指を見ると、確かに付け根に指環の痕がある。

「うん」

もはや隠す必要もなかった。