その季節は来た。

窓ガラス越しの手稲山の頂が白く薄化粧をし、北大の銀杏並木が金色に色づく。

「とりあえず雨はやんだようだな」

そういうと、毎日乗り回しているポケットバイクを手足のごとく操って、街を西から東に転がしてゆく。

向かったのは、かつての彼女であった茉莉江の店であった。