なにそれ。
なんで山形がそんなこと思うの?
まさか……
まさか……
「惚れた?」
そう聞くと、
「まさか」
いたずらそうに笑う。
……だよな。
山形が俺に惚れるわけない。
あれだけ嫌っているのだから。
……嫌っている?
今の山形の話だと、嫌っていないよな。
どうなってんの、山形。
だけど……
山形が俺のことを好きではない。
その事実を知って、当然のことなのに胸がズキンとした。
俺、おかしいよな。
どうしてしまったんだろう。
どぎまぎした俺は、山形に聞いていた。
「好きな男いるの?」
まさかな。
オトコオンナの山形に限って。
この戸崎以上の男はいないし。
戸崎を好きでないなら、好きな男はいないだろ。
特有のナルシスト前向き思考の俺。
だけど、山形は少し赤くなって首を縦に振った。
……は?
山形、好きな男いるのかよ。
山形なんてどうでもいいのに。
なのに胸が火傷したように痛い。
おかしいよ。
俺、山形なんて好きなはずないのに。
どうなってんだよ。
「そっか、俺、協力する」
笑顔でそう言うものの、俺の声は震えていた。



