す……数百万!?
うちにそんなお金があったのか!
というより、ギターってそんなに高いものなの?
無造作に握っていたその茶色いギター。
衝撃のあまり、落としそうになった。
数百万!!
慌てて抱え直す。
「柊君、知らなかったの?
……本当に興味ないんだね」
慎也君までそんなことを言って。
知ってるはずがない!
それに、このギターを持たせたのは他ならぬ柊だ!
よりによって、こんな高いものを!!
あー、もう踏んだり蹴ったりだ!
早くこの場から抜け出さないと!
そう思って、がむしゃらにギターをケースに戻す。
こんな高価なもの、もう触れない!
だけど……
パチン!!
嫌な音が聞こえた。
恐る恐るギターを見ると……
なんと、弦が一本切れている!
その銀色に輝く綺麗な弦が、宙でふよふよ浮いていたのだ。
「ひぃぃぃぃ!」
声にならない声を上げた。
切れた!
数百万が切れた!!
お父さんにどう謝まろう。
滅多に怒らないお父さんだけど……
きっとキレる。
弦より大きな音を立てて、プツンと。
だって……
数百万だもん!!



