「ねぇ、戸崎さん?」




里穂ちゃんが俺に身を寄せて言う。




「文化祭後もあたしと付き合っててね」




付き合うはずねーよ。

そう思いながらも、はいはいと適当な返事を返す。





「んもう、本当ぉ?」




里穂ちゃんは俺を上目遣いで見て、俺はイラつく。

こいつ、俺が柊に戻ったら、酷い目に振ってやる!




だけど……





「あたし、ボイスレコーダー持ってるからさ。

屋上でのやり取り、全部撮ってるから」




その言葉に、俺は地獄に落ちた。





冗談じゃねぇ。

俺は一生里穂ちゃんに弱みを握られたまま生活しないといけないのか。

好きでもない里穂ちゃんと付き合って、山形に嫌われて。





……駄目だ。

こんなところで負けるのは、俺らしくない。

破壊してやる!

ボイスレコーダーを見つけて、破壊してやるぞ!!