練習を終え、家から出るあたしたち。
「柊、本当にありがとう」
優二君は何度もお礼を言ってくれた。
どうやら賢一おじさんに教えてもらえたことが嬉しくて仕方がないらしい。
あたしは何も出来ないけど、こうやって喜んでもらえたなら本当に良かったよ。
あたしは笑顔で優二君に言う。
「坊主にならないように頑張ろうね!」
こんなわけで、メンバーの士気も高まった。
あとはがむしゃらに頑張って、結果を待つのみ。
あたしも、もっと頑張るよ!
「じゃ、また明日」
手を振って帰ろうとする優二君と慎也君。
あたしも手を振る。
だけど……
「俺、戸崎に話がある」
健吾君の言葉にどきりと飛び上がる。
なに?
……何の話?
なんだか健吾君、真剣な顔をしていて。
嫌な予感がするよぉ。
健吾君、怒ってるのかな。
お父さんや賢一おじさんが出てきたから。
邪魔されずに練習したかったんじゃないかな。
それとも……
「そっか、じゃあ先行くな」
優二君と慎也君は全く気にせずに行ってしまう。