健吾君と歩く校内。
一歩一歩がふわふわしていて。
まるで宙を歩いているみたい。
これ、夢なんかな?
妄想中のあたしを現実に引き戻したのは、
「健吾」
最近よく聞く声だった。
一瞬ビクッと飛び上がる。
彼はあたしと柊が入れ替わっても気付かないから大丈夫なのに。
なのに、柚の姿を見られるのがくすぐったい。
……これが本当の姿なんだけど。
あたしたちの前に立っていたのは優二君で。
少し驚いた顔をあたしを見る。
なんだか居心地の悪いあたしは、少しだけ健吾君の陰に隠れた。
「あれ?
健吾、妹と帰ってるのか?」
優二君は不思議そうに聞き、
「あぁ」
健吾君はいつも通りの無愛想な返事を返す。



