あたしは山形さんを見て笑っていた。
山形さんもあたしを見て、嬉しそうに笑っていた。
あたし、山形さんとほとんど関わったことがなかったけど、魅力たっぷりでいい人だな。
正式に柚に戻っても、山形さんとはずっと仲良しでいたい。
そんなことを考えていた時……
「柚」
突然名前を呼ばれてビクッとした。
今の状況であたしの名を呼ぶ人。
それはほとんどがいじめっ子だから。
でも……
あたしには分かった。
この声を聞くだけで胸がドキドキして、顔がにやけてくる。
あぁ、本当に好きだ。
どんどん好きになってるよぉ。
でも、どうしてだろう。
どうしてここに来たの?
あたしは顔を上げた。
彼の切れ長の瞳と視線がぶつかり、真っ赤になって再び顔を下げる。
なんで?
……健吾君、なんで来たの?
「帰るぞ」
その言葉に耳を疑った。



