あたしは座ったまま、健吾君の背中を眺めていた。 今すぐやめてとしがみつきたい。 でも、弱いあたしには出来ない。 健吾君はゆっくりとあたしに視線を移す。 こんな時なのに、身体が火照って息が止まりそうで。 あたし、本当に愚かだ。 健吾君と視線がぶつかる。 身体中に衝撃が走る。 「行くぞ」 差し伸ばされた手を握ってしまう。 強く強く。 そして、 「行くぞ、柚」 初めて呼ばれたあたしの名前。 心が打ち震えて。 新たな涙がこぼれ落ちた。