あたしは柊のシャツを脱ぎ捨てた。
そして、黒色のTシャツに手をかける。
ドキドキドキドキ……
鼓動が最高潮に達する。
「……そんなことするな」
健吾君の声が聞こえ、はっと我に返った。
あたし、血迷って何変なことしてるの?
確かに胸はないから信じてもらえるかもしれないけど……
胸だよ?
胸を見られるってことだよ?
考えただけで恥ずかしくて。
あたしは両胸を押さえて真っ赤になって俯いた。
「お前は馬鹿か」
健吾君はため息混じりにあたしに言う。
何も言えないあたしは、胸を押さえたまま俯くことしか出来ない。
あぁ、本当にあたし、馬鹿だよぉ。
一番知られたくない人に知られてしまった。
やっぱり無理があるんだよ。
あたしと柊は双子だけど、何もかもが一緒ではない。