練習しているうちにお父さんも帰ってきて。

お父さんも心配そうに見に来る。




練習して、

ご飯を食べて、

練習して、

お風呂に入って、

練習して。

一日が二十四時間では足りない。

手が痛くても必死に頑張った。

そして日付が変わる頃、ようやくあたしを心配して見にきたのが柊だった。






「柚、すげーな」




柊はあたしを見るなり言う。

すげーじゃない。

まずは謝ってほしい。

なのに、俺様の柊が謝るはずもなく。




「俺には出来ねーわ、そんなこと」




なんて言う。



分かってるよ。

だって柊、音楽の才能ゼロじゃん。

でも、そう言ってもらえると嬉しくて。




「ありがとう」




笑顔で柊に言っていた。

柊はあたしを見てため息をつく。