14年目の永遠の誓い


「お嬢さま、お誕生日おめでとうございます」



沙代さんがそっと手のひら大の小袋を私に差し出した。



「わあ。ありがとう! 開けても良い?」

「もちろんですとも」



沙代さんはわたしの背をそっと押して窓際のロッキングチェアに連れて行き、座らせてくれる。



「さあ、どうぞ」



沙代さんの満面の笑みを合図に、包み紙を開けると、中にはまた小袋が入っていた。

赤いベルベットの巾着。

袋から取り出そうとすると、カランコロンと高く澄んだとても綺麗な音が鳴った。

まるで、鈴のように綺麗な音。でも、鈴よりずっと繊細で……。



なあに?



不思議な気持ちのまま、袋の紐を引いて開け、自分の手に受けると、カランコロンと音を鳴らしながら、直径3センチくらいのまん丸な金属のボールが転がり出してきた。



銀色の金属地に青緑の地球模様。

手の上で、カランコロンと音が鳴る。



「オルゴールボールって言うんですって。綺麗な音がしますでしょう? 古代ケルト人が瞑想のために使ったそうですよ」



お礼を言うのも忘れて、初めて目にする綺麗なボールに目を奪われていると、沙代さんがこれが何なのかを教えてくれた。



「沙代さん、ありがとう! すごく嬉しい!」



目を輝かせてお礼を言うと、沙代さんは嬉しそうに相好を崩した。



「気に入ってもらえて良かったです」

「大切にするね」



……古代ケルト人が瞑想に使った。



沙代さんの言葉が頭に残る。



静かな場所で、このオルゴールボールの音を聴けば、ザワつく心も少しは落ち着くのかな?



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