おじさんは視線をオレにがっちり合わせて、
「悪いが、陽菜は、嫁にはやれんっ!」
と、そう言った。
……あれ?
何かが違っている、そんな違和感を覚えた。
ボタンを掛け違えているだけで、今なら、簡単に掛け直せる、そんな予感。
「おじさん、オレ、ちょっと言い間違えたかも」
「は?」
さっきの「嫁にはやれん」宣言は決死の覚悟で告げたのか、おじさんは、オレのフレンドリーな態度に戸惑ったように眉を上げた。
「えーと、オレ、そこんとこ、こだわりないんで、……やり直しても良い?」
返事を待たずに、オレも立ち上がり、おじさんに対峙する。
「おじさん、」
そして、90度にきっちり腰を折った。
「オレをハルの婿にしてください」
「…………なんだって?」
顔を上げると、おじさんはポカンとした顔でオレを見ていた。
「オレが牧村になるよ。オレは、ハルと結婚したいけど、別にハルを広瀬にしたいとか思ってないし。
お父さんに結婚を申し込むんだったら、嫁にくださいかなと思って、そう言っただけで、オレはただハルと結婚したいだけだから」
一気にそこまで言ってから、おじさんの顔を見る。
オレの言葉に迷いが生じたおじさんに、追い打ち。
オレは笑顔で告げた。
「おじさん、オレをおじさんの息子にしてよ?」



