「……うちで毎日、という訳にも、いかんだろうな」
そりゃ、ダメだろう。
ってことは、じいちゃんも分かってる。
おじさんもおばさんも、忙しくてなかなか一緒にいられないってだけで、ハルを心から愛している事には変わりない。
だからって、今日は自宅、明日はじいちゃんち……と言うのも微妙だ。
子どもの頃ならまだしも、家には沙代さんがいて、美味しい料理を作ってくれるし、ハルと一緒には食べられなくても、遅い時間になれば、おじさんもおばさんもほぼ毎晩帰宅はするのだから。
「結婚さえしていたら、オレは毎日、ハルと夕飯食べられるし、夫婦なら同じ部屋で寝られる」
それでも、じいちゃんは迷っていた。
「せめて、大学卒業まで待てないのか?」
「待てない」
「……高校卒業までは?」
じいちゃん、切り替え早っ! 一気に4年短縮した。
けど、
「待てない」
そう、待てないんだ。待ちたくなんてないんだ。
「親のすねをかじっている子どもが、結婚というのはどうだろう?」
じいちゃん!
その台詞、待ってたよ!!
オレは持ってきた鞄からクリアファイルと通帳を取り出した。
「じいちゃん、これ、見て」
資産運用レポート、現在の預金残高を記帳した通帳を並べる。
「ん? なんだい?」
レポートを読み進めるじいちゃんの目が、やがて大きく見開かれた。
最後に通帳を開き、残高を確認すると、じいちゃんはオレに視線を移し、まじまじと見つめた。
「じいちゃん、オレ、ハルを養える男になったと思う」
だから、応援して……という言葉に、数分後、とうとうじいちゃんは頷いた。
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