14年目の永遠の誓い

「ハル、お誕生日おめでとう」



オレは大きく椅子を引き、隣に座るハルの前で腰を落とした。

ハルに付き合ってくれと告白した高1のあの日を思い出す。
あの時は教室、今はハルの家の庭。
場所もギャラリーも違うけど、オレの緊張はまったく同じだった。

オレは小箱の蓋を開けて、中身を取り出した。

ハルがそれを見て、目を大きく見開いた。



「え?」



オレはまるで宝物に触れるかのように、ハルの細っそりした左手を取り、その薬指にそっと指輪をはめた。

大粒のダイヤモンドが、プラチナの華奢な台の上で燦然と輝いていた。

ハルが息を飲んだ。
それから浮かべたのは、困惑の表情。

風が吹き、木々がさわさわと音を立てるのが聞こえた。

その場にいた誰もが、静かにオレたちを見守っていた。



「ハル」



愛しいその名を呼ぶと、ハルの視線が、左手の薬指からオレへと移った。



「8月のオレの18の誕生日が来たら、オレと結婚してください」



その言葉に、ハルの大きな目が更に見開かれた。



「………え?」

「ハル、愛してる」



ハルの表情がスーッと潮が引くように堅くなり、そのまま、長い沈黙が始まった。

ハルは口が重い。
普段でも、相当考えてからしか、言葉を口にしない。
多分、思ったことの半分も話さない。

ハルの頭の中には、今、きっと色んな言葉が渦巻いている。

……けど、

ハルは今、驚いているだけじゃない、さすがにそれは分かった。

高1の、ハルに付き合って欲しいと言ったあの日も、ハルは驚いていた。けど、その驚きの中にはハルの暖かい喜びとか嬉しさとか、そう言う想いも垣間見えた。

今のハルには、それがない。
それどころか、流れるのは冷たく硬質な空気ですらあった。