風呂まで済ませて、ハルの部屋に戻ると、ハルが目を覚ましていた。
「ハル」
枕元に座り、ハルの額に手を当てる。
かぶれやすいからって、熱さまシート類は貼らない。代わりに昔ながらの氷枕。
やっぱり、熱い。
「ハル、何か食べられた?」
「……ゼリー、少し」
「ごめんな。オレ、いなくて」
やっぱり、ずっとここにいれば良かった。一人で食事は味気ない。
……いや、里実さんがいるか。
けど、ハルは当たり前とでも言いたげに、小さく左右に首を振った。
ハルはきっと、オレがここにずっといる方が気にするのだろう。
「あ、志穂と斎藤、あの後、律子の班と合流したんだって」
せっかくだから、明るい話題を提供……とばかりに、ついさっき仕入れた斎藤ネタを披露。
「良かった……楽しそうで」
ハルはホッとしたように、笑顔を見せた。
オレは勢いに乗って、その他にも仕入れてきたエピソードを話す。
それを子守歌に、ハルはまたスーッと眠りについた。
午後9時半前、裕也さんが到着した。
聴診器の感触に、ハルは目を覚まし、そこに裕也さんの顔を見つけて、とても不思議そうな顔をした。
裕也さんは丁寧に胸の音を聴いた後、ハルの頭をそっとなでた。
「陽菜ちゃん、迎えに来たよ」
……やっぱり。
「明日の朝、一緒に帰ろう」
ハルは少しの間の後、ささやくような声で、また、文句ひとつ言わず、
「……はい」
と言った。



