「すごいね、カナ」
人2人乗せて坂を登る車夫を見て、ハルが目を丸くする。
「すごい力だよな?」
「なんか……降りなきゃ申し訳ないみたい。車だけでも重いのに」
確かに、すごい筋肉使ってるの見えるし、かなり汗をかいてるのが分かる。
「けど、ハル、それを言ったら、人力車の需要なくなるから」
と思わず笑うと、ハルも「そっか」と笑った。
それを聞いた車夫のお兄さんも、
「そうそう! 気にせず、せっかくだから楽しんで!」
と声を上げた。
人力車は思いの外乗り心地が良く、見晴らしも良くて、頰をなでる風が気持ち良かった。
風のおかげかハルも酔うことなく、目的地に到着。
「気持ちよかったね-!」
志穂がハルの手を取る。
だから、その手はオレのだって……と主張しようとしたところで、後ろから声をかけられた。
「あ、ずっりー、なに、叶太、人力車なんか乗ってるの」
同じクラスの別の班のヤツら。
男ばかりの4人組、幸田和樹他3名。正直、ちょっとむさ苦しい。
クラスの雰囲気が良かったからか、自由にさせてもらえた班決め。
大半は男だけ、女だけで、男女混合になったのは数班だけだった。
「サイコーに気持ちいいぞー。お前も後で乗ったら?」
「そんなに? じゃあ、帰り便で乗せてもらおうかな……」
「あ、これはダメ。貸し切り中。別の頼んで」
「うわ、ムカツク。なに、それ」
和樹が笑いながら、オレをこづいた。
確かに高校生が人力車貸し切りって、結構リッチだ。



