オレは軽口をたたいたり、ハルをかまったり、大人たちののどかな光景を見るともなしに見ながら、タイミングを計っていた。
いつ渡そう。
今か、それとも、もっと後?
オレが渡そうとしているのは、誕生日プレゼントより、少しだけ特別な贈り物。
ハルはどんな顔をするだろうか?
驚くだろうか?
喜んでくれるだろうか?
ドキドキする。
気がつくと、手のひらにじっとり汗をかいていた。
……いや、大丈夫。
反対する人間はいない。
明兄ですら、許してくれたんだ。
「叶太」
「ん、なに?」
「お前、いいの?」
兄貴に言われて、ハッと我に帰る。
気が付くと、オレは随分とボーッとしていたらしく、ハルのじいちゃん、ばあちゃん、うちの両親、そして兄貴がハルにプレゼントを渡し終えていた。
ハルの家族は家で既に渡しているのか、笑顔でハルを見守っていた。
一瞬迷った。
ここで渡すか、後で2人きりの時に渡すか。
早すぎるそれは、今ここで祝福されたものだと示さなければ、やんわりと拒絶されるかもしれない。
オレはローズピンクの小ぶりの紙袋から、静かに小さな箱を取り出した。
それを見て、兄貴がニヤッと笑ったのが目の端に見えた。
おばさんが面白そうに身を乗り出し、おじさんの表情が引き締まり、明兄がため息を吐いたのも見えた。
よし行ける。
じいちゃんは、頑張れと声に出さずに口を動かした。
オレはさっきまでの緊張はどこへ行ったのか、すっかり落ち着いていた。



