里実さんは旅館で待機。
ハルの体調次第では同行予定だったけど、
「絶対にムリしないこと。具合が悪くなったらすぐ帰ってくること」
という注意だけで、班行動がOKになった。
加えて、密かにオレは、もしもの時に駆け込む病院名と連絡先を聞かされている。
ハルは万全の体調ではないけど、4人だけで班行動ができるってのは、オレたちの中では最高に近い状況。
「じゃ、行こうか!」
志穂の元気な声で、自由行動がスタートした。
最初の移動は路面電車。
新幹線より揺れるのは間違いない電車という乗り物。
それだけに心配していたけど、ハルはゆっくり流れる景色を楽しむ余裕すらあり、正直ホッとした。
数駅乗って、向かう場所は天主堂。
ハルが一番行ってみたいと言っていた場所。
「え? わたし、斎藤くんと乗るの?」
志穂が指さす先には人力車。
坂道をハルが歩いて移動するのはムリってことで、予約済み。
「そうそう」
「えー。陽菜と女同士で……」
と志穂がハルの腕を取る。
「体重バランス考えろって」
オレがすかさず言うと、斎藤も「確かに」とうなずいた。
志穂はオレと斎藤、それからハルの3人の間に視線をさまよわせた後、唇をとがらせつつも、
「りょうかーい」
と言った。
何しろ、オレも斎藤も身長180センチ超。重さを考えても座席の広さを考えても、男女ペアにするのが道理だろう。
……本当はただオレがハルと乗りたいだけだけど。
だから男女でペアになると、左右のバランスが悪い気がするのは、気のせいって事にしておいた。



