「ハル、もう一回、口ゆすぐ?」
「……いい」
「陽菜ちゃん、少し、水分取れそうかな?」
里実さんが経口補水液の入ったペットボトルを持ち上げた。
「……ムリ、そ、です」
ハルは困ったような顔をした。
「じゃあ、点滴用意するね」
里実さんは、部屋の隅で、テキパキと持っていた大きな荷物を開きはじめた。
さすが看護師、頼もしい。
何でもやってあげたいとは思っても、オレには点滴をしてあげることはできない。
里実さんの大きなスーツケースから出てくるものを見るともなしに見ていると、ハルがオレの名を呼んだ。
「カ、ナ」
慌てて視線をハルに戻す。
「ん? どうした?」
「……行か、なきゃ」
「ああ。オリエンテーリング? 斎藤と志穂が聞いてきてくれるから、大丈夫」
と請け負ったのに、ハルは「ダメ」と言う。
その顔があんまり悲しそうだったので、
本当はこんな状態のハルを置いていきたくなんてなかったけど、ハルが気に病むなら行かなきゃいけないだろうと、
オレは里実さんに後を頼んで、仕方なく宴会場へと向かうことにした。
部屋を出る前に、
「また後で来るからね?」
と手を握ると、ハルは、
「……ん。…待って、る」
とオレの手を握り返してくれた。
良かった。拒否されなかった。
オレはそっとハルの頭をなでると、努めて笑顔を見せ、手を振りつつ、白藤の間を後にした。
☆ ☆ ☆
「……いい」
「陽菜ちゃん、少し、水分取れそうかな?」
里実さんが経口補水液の入ったペットボトルを持ち上げた。
「……ムリ、そ、です」
ハルは困ったような顔をした。
「じゃあ、点滴用意するね」
里実さんは、部屋の隅で、テキパキと持っていた大きな荷物を開きはじめた。
さすが看護師、頼もしい。
何でもやってあげたいとは思っても、オレには点滴をしてあげることはできない。
里実さんの大きなスーツケースから出てくるものを見るともなしに見ていると、ハルがオレの名を呼んだ。
「カ、ナ」
慌てて視線をハルに戻す。
「ん? どうした?」
「……行か、なきゃ」
「ああ。オリエンテーリング? 斎藤と志穂が聞いてきてくれるから、大丈夫」
と請け負ったのに、ハルは「ダメ」と言う。
その顔があんまり悲しそうだったので、
本当はこんな状態のハルを置いていきたくなんてなかったけど、ハルが気に病むなら行かなきゃいけないだろうと、
オレは里実さんに後を頼んで、仕方なく宴会場へと向かうことにした。
部屋を出る前に、
「また後で来るからね?」
と手を握ると、ハルは、
「……ん。…待って、る」
とオレの手を握り返してくれた。
良かった。拒否されなかった。
オレはそっとハルの頭をなでると、努めて笑顔を見せ、手を振りつつ、白藤の間を後にした。
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