14年目の永遠の誓い

「ハル、もう一回、口ゆすぐ?」

「……いい」

「陽菜ちゃん、少し、水分取れそうかな?」



里実さんが経口補水液の入ったペットボトルを持ち上げた。



「……ムリ、そ、です」



ハルは困ったような顔をした。



「じゃあ、点滴用意するね」



里実さんは、部屋の隅で、テキパキと持っていた大きな荷物を開きはじめた。

さすが看護師、頼もしい。

何でもやってあげたいとは思っても、オレには点滴をしてあげることはできない。

里実さんの大きなスーツケースから出てくるものを見るともなしに見ていると、ハルがオレの名を呼んだ。



「カ、ナ」



慌てて視線をハルに戻す。



「ん? どうした?」

「……行か、なきゃ」

「ああ。オリエンテーリング? 斎藤と志穂が聞いてきてくれるから、大丈夫」



と請け負ったのに、ハルは「ダメ」と言う。

その顔があんまり悲しそうだったので、

本当はこんな状態のハルを置いていきたくなんてなかったけど、ハルが気に病むなら行かなきゃいけないだろうと、

オレは里実さんに後を頼んで、仕方なく宴会場へと向かうことにした。

部屋を出る前に、



「また後で来るからね?」



と手を握ると、ハルは、



「……ん。…待って、る」



とオレの手を握り返してくれた。



良かった。拒否されなかった。



オレはそっとハルの頭をなでると、努めて笑顔を見せ、手を振りつつ、白藤の間を後にした。



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