到着までの約4時間をハルは完全に夢の中で過ごした。
オレと里美さんがおしゃべりする声にもまったく反応はなし。
だけど、バスへの乗り換えでは、さすがに寝たままという訳にも行かず、かなり強引に起こした。
「ごめんね、ハル。眠いよな」
「……ん」
目をこすりぼんやりするハルの脇を支えつつ、一番最後に降りる。
混み合ったホームでハルの手を引きながら2人分の荷物を運んでいると、
「持つよ」
と斎藤がオレたちの荷物を請け負ってくれた。
「ありがと」
「いや、牧村、大丈夫?」
「んー、どうだろ?」
不用意に大丈夫と言いにくい状態。
眠そうで会話にならないのももちろんだけど、顔色もあまり良くはない。
いくら強めの酔い止めを飲んだからって、ここまでなるか?
列の最後尾について、駅から外に出る。
「陽菜、大丈夫?」
ハルが半分目をつむったような状態だから、志穂もオレに聞いてきた。
「あー、んー」
オレが答えあぐねていると、話は耳に入っていたのか、隣のハルが小声で答えた。
「大丈夫だよぉ」
ハルは手で口元を隠しながら小さくあくびをした。
「ごめんね。……なんか…眠くて」
「いいよいいよ。ただでさえ移動距離長いんだもん。寝てたら良いよ~」
志穂がハルの背に手を置いて、ハルの顔を覗き込んだ。
「んー。しーちゃん、ありがとう。少し、目…覚めてきたー」
「無理しないでね? 具合悪かったら、遠慮しないで言うんだよ」
「ん」
ハルはふわっと笑顔を浮かべて志穂と斎藤を見た。



