14年目の永遠の誓い

「ハルちゃん、相変わらずシャイだよね」



兄貴が可愛くて仕方がないという目でハルを見る。

てか、ハルはオレのだからね……と言わずとも、さすがに兄貴は知ってるか。
オレを見てニヤニヤ笑うんだもんな。からかうなよ。



「……カナが、人目を気にしなさすぎだと思うの」



ほんの少し唇を尖らせて、ハルが不満げに言う。



「いや、ハルちゃん、叶太は確かにストレートだけど、これくらい普通だと思うよ。なあ、明仁」



けど、明兄は



「いや、叶太はもっと慎み深くしとけ」



と一刀両断。

明兄のはただのシスコンだろ?

と思ったけど、口で勝てる気がしない。
言い返さずにいると、兄貴はプッと吹き出した。

そんなオレたちの様子をハルはニコニコしながら見守っていた。



ハルの向こう側では、大人は大人で楽しそうに盛り上がっている。

ハルの母さんが、



「この、青空の下、昼間っから酒飲んで……ってのが、独特の開放感なのよね~」



とグビグビとビールを煽ると、親父がそれに相づちを打ち、同じようにビールを空ける。



「今頃、会社でみんな働いていると思うと、申し訳なくなりますね~」



とか言いつつ、まったく申し訳なさそうではない。

毎年、この日は大人全員、何があっても休みを取る。
医者のおばさんさえ、代診に名医を呼んで、完全なバックアップ体制を取っていると聞いたことがある。



「響子さん、ホタテがそろそろ良さそうだから、もらって来ようか?」



と甲斐甲斐しく奥さんのために動くのは、ハルの父さん。

何歳になっても、人がいようがいまいが気にすることなく仲が良い夫婦だ。どちらかと言うと亭主関白気味な親父より、オレがお手本にしたいのはおじさんの方だ。