14年目の永遠の誓い

「そうそう。ハルちゃん、気にせず、好きなモン食べれば良いんだから。
オレは、誕生日くらい、自分が好きなものだけ食べて良いと思うよ?

オレ、子どもの時に、本気でそう思っててさ、お袋にネゴって、ひとりでホールケーキ2つ食べたよ」



兄貴も笑顔で言った。
その言葉と兄貴が両手で示した大きさにハルが絶句する。



「え? ホールケーキ2つ!?」

「そう。小3だったかな? ……で、食い過ぎて気持ち悪くなって、ケーキが苦手になったね」



明兄が、兄貴の隣でぷっと吹き出した。



「おまえ、あの時、プレゼント持参してったオレに、イチゴ一個しか寄こさなかったよな。で、次の日、腹壊して学校休んでやがるの」

「若気の至りだね」

「何堂々とぬかしてる」



じゃれ始めた2人を横目に、オレはハルの前の小鉢から果物のゼリーをすくって、ハルに差し出した。



「カナ?」

「はい、あーん」



その意図を理解し、たちまち、ハルが真っ赤になる。



「え、ウソ。……やだ」

「ほら、ハル。早くしないと、こぼれちゃうよ」

「あ、あのね。……わたし、自分で食べられるし」



もちろん、そんな事は承知の上だ。
ついでに言うと、ハルが公衆の面前でイチャイチャするのが苦手なのも知っている。

だから、ハルがスプーンに手を伸ばしてきた時には、すんなり離した。

……少しは気分、変わっただろうか?



「ありがとう。……いただきます」

「美味しい?」

「うん。とっても」



ふわぁっと明るくなった笑顔がまぶしくて、オレは思わず、ハルの頭を抱き寄せた。