14年目の永遠の誓い

ハルはぶるっと身体を震わせると、ギュッと身を縮めた。戻すほどに調子が悪い時、ハルは横抱きでもおんぶでも酔う。



「ごめんな」



オレの言葉に、ハルは小さく首を振った。
そして、また苦しげに眉をひそめた。

こんな最悪の状態でも、ハルはオレに申し訳ないとか、そんなことを考えていそうで、オレの方こそ申し訳なくなる。

できるだけ揺らさないように、でも少しでも早く、オレはハルをベッドに運ぶ。
トイレと言っても、ハルの部屋に造りつけてあるトイレだから、ベッドは目の前だ。

振動にはかなり気をつけてベッドに降ろしたけど、やっぱりハルは苦しそうに呻き声をあげた。

そっとハルの頭をなでる。



「ハル、病院行く?」

「…い…かない」



かすれた小さな声。

……だよな。今行くんだったら、最初からじいちゃんに電話してるだろう。



「薬は?」

「……ら…な…い」



自分で聞いておいて何だけど、これも納得。今はとても薬なんて飲める状態じゃない。
多分、薬だろうと水だろうと、飲んだら数分と待たずに戻してしまうんじゃないだろうか……。



「そっか」



ムリにでも病院に連れて行くとか、じいちゃんを呼ぶとか考えないでもない。
だけど、ハルが呼んだのはオレ。

それなら、オレは自分ができることをするだけだ。

ベッドの端に浅く座ると、ギシリと音を立て揺れた。そのまま、ハルの背中に手を当ててゆっくりとさする。
強張っていたハルの身体が、少し緩む。

オレにできるのは、これくらいしかない。だけど、ハルの身体が、表情が、わずかだけど緩むから、少しは、ほんの少しくらいはオレも役に立てているのかな、と思えた。