トイレにしては広いその部屋の、便器の前にハルを下ろそうとしたところで、とうとう限界を迎えたハルの背が大きく波打ち、ハルは戻した。
「うえぇ……げぇっ」
だけど、幸いあふれ出した吐瀉物は何とか、ハルが口元を押さえていたタオルまでで収まっていた。
オレはともかく、ハルのパジャマが汚れなかったのは幸いだ。
こんなに具合が悪いのに、着替えさせるとか、あまりしたくない。
「……ご、め…」
「気にしない」
ハルの口元からタオルを外させる。
それから、崩れ落ちそうなハルを後ろから支えて、便器の上に顔を出させた。
瞬間、ハルの背中がまた大きく波打った。
「げえぇっ」
勢いよく、ハルの胃液が飛び出した。
ついさっき戻したのには、まだ形があった。
けど、それもほんの少量。
「ハル……、オレが来る前にも、戻した?」
「……少、し」
ハルが苦しそうに、胃の辺りを押さえた。
とても少しには思えない。
「うえぇっ」
また胃液。
オレはハルの背を優しくさする。
ハルの呼吸が完全に上がっている。支えていなきゃ、きっと身体を起こしていられない。
それから数度、ハルは苦しげに胃液を戻した。
その後、粗い息の下、囁くように言った。
「…カ……ナ」
「ん?」
「よこ、なり…た……」
「まだ吐きそう?」
「も……だ、じょ…ぶ」
「よし、じゃ、ベッドに行こうな」
オレはコップに水をくんで口をゆすがせた後で、できる限り、そうっとハルを抱き上げた。



